トレーニングに臨まれる際は、前回までの内容を十分ご理解の上確実に段階を踏んで進めるようにして下さい。
今回は、前回までの練習を済ませたワンちゃんに対して、実際にイタズラ行動の現場での対処の仕方をご説明します。
前回までの練習を積んでも、イタズラ行動を繰り返して来たワンちゃんはどうしても条件反射で特定のモノを銜えてしまうことがあります。
悪い反射に対してはその都度確実に対処し、正しい反射を植え付けるように教えて行くことが大切です。
例えばイタズラ噛みや特定の物への執着が見られるようになってから1年問題行動を繰り返してきたワンちゃんは、その悪い条件を消すまでに同等の時間を要することもあります。
イタズラ行為が直らないのではなく、反射行動を正すのに時間がかかると考えて、日々根気良く対処していくことが大切です。
前回までのように練習をしたケンシロウ君も、ティッシュは噛んだり食べたりしてはイケナイ物なのだと正しく認識することはできましたが、
考える前に反射的に噛んでしまったり、ティッシュを見ると興奮してしまうような条件反射はすぐには消えません。
ですので、実際にティッシュをパクっと銜えて逃げようとする行動は何度か繰り返すことが予想されます。
そこで、前回までのようなティッシュを噛ませずに距離をとって諦めさせる練習に続き、
実際にティッシュを銜えて逃げようとした時に、「それはイケナイ行為だ」と教えるような、今までよりもう一歩進んだ練習についてご説明致します。
まず、『その2』でも申し上げましたが、
犬が目標物を噛み始めた時は絶対に取り上げたり奪い返したりしてはいけません。
闘争心や執着心に火が点き、攻撃的になったり更に強い執着心を植え付けてしまうことがあるからです。
また、オヤツなどを見せて交換するように仕向け、目標物を取り返す方法もあまりお勧め出来ません。
悪い行動に良い条件を与えてしまうことになるので、問題の根本的な改善から更に遠ざかってしまうことになります。
理想的な対応は、まずイケナイ物を銜えた犬の、首から背中にかけてのお肉などを捕まえ、その場でじっとさせます。
逃げないように取り押さえる感じです。
そして、「イケナイ」とか「ダメ」などの禁止のコマンドをかけながら、犬が銜えた物を維持するのを少し待ちます。
この時飼い主さんが力んでいたり闘争心剥き出しの心理状態にならず、落ち着いて理解させようという目標を明確に持って臨むようにして下さい。
あまり力が入っていたり焦って興奮気味であったりすると、犬にも力が入って所有欲が強くなり、銜えた物を飲み込んでしまおうとすることがあります。
犬が飲み込むような行動を見せずじっと様子を伺うような状態であれば、掴んだ手を犬の後頭部から顎にかけて回し、口の根元(口内の上顎と下顎の関節あたり)を人差し指でグッと押します。
両手でも片手でも構いません。
すると犬の顎関節が自然に開き、銜えていた物が口から落ちるような状態になります。
この時犬に痛みはほとんどありませんが、自分の意に反して顎関節が開いてしまうので、驚いてキャンと鳴く犬もいます。
犬は驚いた時にも一瞬の悲鳴を上げることがありますが、飼い主さんがそれに驚いて動じないようにして下さい。
目標物が犬の口から落ちたら、その位置のまま下の動画のように、落下した目標物から距離をとらせるように仕向けて、所有してはイケナイと伝えます。
ここまでの解説を、モデルのケンシロウ君の練習の様子を撮った2つの動画でご確認下さい。
以前の記事『その2』で掲載した動画も再度載せます。
*この時は私の不注意で練習中にティッシュをケンシロウくんに奪われたような状態です。
ハプニングが起きても練習に結びつけ、結果的に成功すれば問題ありませんので、心の準備だけはしておくようにしましょう。
もう一つの動画では、ケンシロウ君のイタズラの対象であるスリッパも登場させました。
ですがあまり悪い反応(イタズラ噛み)を見せないので、敢えて悪い反応を誘って練習しています。
スリッパを噛んではイケナイと私に注意されたケンシロウ君は、私が隠しておいたティッシュを噛んで走り去ろうとしたので、即座に捕まえて口から出させる練習をしました。
このように、噛んではイケナイと先に認識させ、実際に噛ませて吐き出させ、再度距離をとらせて完全に諦めさせる練習を、きちんと時間を作って根気良く繰り返して下さい。
繰り返しの練習は、悪い習慣を正しい習慣へと擦り替えてくれます。
着実に進歩していることを実感出来る楽しい練習ですので、愛犬と通じ合い尊重を得ることを意識して取り組んで下さいね。
次回はこのシリーズの最後に、ティッシュへの執着心を消す練習を積んだケンシロウ君の今の様子をご紹介したいと思います。
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